不正競争防止法・令和5年改正の施行
令和5年に成立した「不正競争防止法等の一部を改正する法律」(法律第51号)による不正競争防止法の改正が、本年4月1日から施行されました。当該改正の主な内容と、そのうち「営業秘密の保護の強化」の主な内容は、以下のとおりです。
《改正の主な内容》
・ デジタル空間における形態模倣行為の防止
・ 営業秘密の保護の強化
・ 限定提供データの保護の強化
・ 外国公務員贈賄に対する罰則の強化
《「営業秘密の保護の強化」の主な内容》
① 損害賠償額算定規定の拡充
改正前:「侵害品の販売数量×被侵害者の1個当たりの利益」と推定
被侵害者の生産・販売能力超過分の損害額は否定
改正後:上記超過分は侵害者に使用許諾(ライセンス)したとみなし、使用許諾料相当額として損害賠償額の増額可
② 営業秘密の使用等の推定規定の拡充
改正前:「侵害者が営業秘密を不正取得した事実」+「侵害者が当該営業秘密を使用すれば生産できる製品を生産した事実」をそれぞれ立証
⇒被告が当該営業秘密を使用した事実が推定される
改正後:上記「不正取得」の対象行為を拡大
③ 国際的な営業秘密侵害事案における手続の明確化
改正前:日本国内の営業秘密につき海外で侵害行為が行われた場合の民事訴訟について、日本国内の裁判所で日本の不正競争防止法に基づき裁判を受けられるのかが不明確な場合あり
改正後:日本国内で事業を行う企業の、日本国内で管理体制を敷いて管理している営業秘密に関する民事訴訟であれば、海外での侵害行為も日本の裁判所で日本の不正競争防止法に基づき提訴できる旨を明確化
※ 参考URL(経済産業省)
不正競争防止法等の一部を改正する法律【知財一括法】の概要
【弁護士 里見 剛】