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改正育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児介護休業法)について

弁護士山口 源樹

改正育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児介護休業法)が令和4年4月1日から段階的に施行されます。

改正のポイントは以下のとおりです。

1 育児休業を取得しやすい雇用環境の整備及び休業取得に関する個別の周知・意向確認措置の義務付け(令和4年4月1日施行)

①雇用環境整備について

育児休業と出生時育児休業(後述)の申し出が円滑に行われるようにするため、事業主は以下のいずれかの措置を講ずる必要があります(改正育児介護休業法第22条第1項、同施行規則第71条の2)。

  • 育児休業・出生時育児休業に関する研修の実施
  • 育児休業・出生時育児休業に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
  • 自社の労働者の育児休業・出生時育児休業取得事例の収集・提供
  • 自社の労働者に対する育児休業・出生時育児休業制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

②休業取得に関する個別の周知と意向確認について

事業主は、本人又は配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、育児休業制度等に関する一定の事項の周知と休業の取得意向の確認をするための面談等の措置を、個別に行う必要があります(改正育児介護休業法第21条第1項)。

周知事項は以下のとおりです(改正育児介護休業法施行規則第69条の3第1項各号)。

  • 育児休業・出生時育児休業に関する制度
  • 育児休業・出生時育児休業の申出先
  • 育児休業給付に関すること
  • 労働者が育児休業・出生時育児休業期間について負担すべき社会保険料の取り扱い

個別周知・意向確認の方法は以下のとおりです(改正育児介護休業法施行規則第69条の3第2項、同第69条の4第1項)。

  • 面談
  • 書面交付
  • FAX
  • 電子メール等
    のいずれか

    2 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(令和4年4月1日施行)

    従前は、育児休業も介護休業も、それぞれ、当該労働者につき「引き続き雇用された期間が1年以上」であることが、休業取得の要件の一つとされておりましたが、改正により、この要件が撤廃されました(改正育児介護休業法第5条第1項、同第11条第1項参照)。

    これにより、原則として、育児休業においては、「子が1歳6か月に達する日までにその労働契約が満了することが明らかでない」こと、介護休業においては、「介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までに、その労働契約が満了することが明らかではない」ことの要件を満たすことで、それぞれの休業を取得することができるようになりました。

    3 出生時育児休業(産後パパ育休)・育児休業の分割取得等(令和4年10月1日施行)

    ①出生時育児休業(産後パパ育休)

    出生時育児休業制度が導入されました。出生時育児休業制度は、従前の育児休業制度とは別に、子の出生後8週間以内に4週間まで取得することができる休業制度です(改正育児介護休業法第9条の2)。

    ②育児休業の分割取得等

    育児休業を分割して取得することができるようになりました(改正育児介護休業法第5条第2項参照)。また、一歳以降も育児休業を延長する場合の開始日の柔軟化(改正育児介護休業法第5条第6項)などの改正も行われました。

    上記を踏まえた改正後の具体的な運用については、厚生労働省のリーフレット(000789715.pdf (mhlw.go.jp))等をご確認ください。

    4 育児休業取得率の公表(令和5年4月1日施行)

    常時雇用する労働者が1,000人を超える事業主は、①育児休業等の取得割合又は②育児休業等と育児目的休暇の取得割合を、年1回、インターネットの利用その他適切な方法で、一般の方が閲覧できるように、公表することが義務付けられます(改正育児介護休業法第22条の2、同施行規則第71条の3、同施行規則第71条の4)。

    改正に関する詳細については、上記リーフレットの他、厚生労働省のHP(育児・介護休業法について|厚生労働省 (mhlw.go.jp))でご覧になれます。

    当事務所では、上記改正を踏まえた就業規則及び育児介護休業規程の改定のご相談にも対応しております。お悩みの方はお気軽にお問い合わせください。

    ≪弁護士 山口源樹≫