消費税転嫁対策特別措置法について
「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」が、平成25年6月5日に成立し、同年10月1日より施行されています。
同法においては今後予定されている消費税率の引上げに関し様々なことが規定されていますが、「特定事業者」が「特定供給事業者」から受ける商品・役務の供給に関して消費税の転嫁拒否等の行為を行うことも、禁止行為として規定して取り締まっています。具体的には、①(消費税を含まない)本体価格での交渉の拒否、②(値決めの際の)買いたたき、③(事後的な)減額、④消費税の転嫁受諾の代わりに指定の商品購入もしくは役務利用または利益提供を要請すること、⑤上記①乃至④の事実を公正取引委員会等に知らせたことを理由に取引停止等の報復を行うことを禁止しています。
供給事業者側が、資本金・出資の総額が3億円以下の法人事業者や個人事業者の場合、当該供給事業者側から継続して商品・役務の供給を受ける法人事業者であれば全て、資本金・出資の総額を問わず「特定事業者」となるため、多くの法人が上記の規制の対象となると思われます。
公正取引委員会のガイドラインによれば、平成26年4月1日以降に本体価格を従前価格より引き下げたりリベートを増額したりしても上記の買いたたき(②)や減額(③)に該当しないといえるためには、「合理的な理由」が必要とされます。同ガイドラインでは、「合理的な理由」ありといえる場合として、原材料価格等が客観的にみて下落しておりその下落分を対価に反映させたとか(②について)、一定期間内に一定数量を超えた発注を達成した場合には発注増加分によるコスト削減効果を反映したリベートを支払う旨の取決めが従来から存在し、当該取決めに基づき対価額から事後的にリベート分の額を減じたとか(③について)、消費税の転嫁と無関係と認識し得るような客観的な事情が存在する場合を例示しています。仮に、供給事業者側が従前価格からの減額やリベート増額を承諾したとしても、それだけでは「合理的な理由」ありとは認められないと考えられるため、その点留意が必要です。
上記に関する公正取引委員会のガイドラインは以下のWEBページからご覧ください。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=110300028&Mode=2