委託者指図型投資信託受益権と個人向け国債の共同相続に関する最高裁判所平成26年2月25日判決のご紹介
委託者指図型投資信託受益権と個人向け国債が複数の相続人間で共同相続された事案で、最高裁判所は、いずれも「相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない」と判示しました。(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20140225111030.pdf)
最高裁判所昭和29年4月8日判決において、「相続人数人ある場合において、相続財産中に金銭その他の可分債権あるときは、その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するものと解する」とされたところ、本件では、委託者指図型投資信託受益権と個人向け国債についても可分債権として相続開始と同時に相続分に応じて当然に分割されるかという点が問題となりました。この点、最高裁判所は、本判決において、前者について、「法令上、・・・委託者に対する監督的機能を有する権利が規定されており、可分給付を目的とする権利ではないものが含まれている」という権利の内容及び性質、後者について、「法令上、一定額をもって権利の単位が定められ、1単位未満での権利行使が予定されていないもの」であるという個人向け国債の権利の内容及び性質に照らして、いずれについても「相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない」との結論を導いています。
委託者指図型投資信託受益権と個人向け国債に対する最高裁判所の見解が明らかとなったことにより、今後の遺産分割に関する実務に影響があると思われますので、本判決をご紹介します。