景品表示法「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」の改正について
不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」といいます。)に関して、令和4年6月29日、消費者庁は、「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」(平成26年11月14日内閣府告示第276号。以下「本指針」といいます。)の改正を行いました。
そもそも、景品表示法第26条第1項では、事業者に対して、表示に関する事項を適正に管理するために必要な措置を講ずる義務を定めており、同条第2項では、かかる事業者が講ずべき措置に関して、指針を定めるものと定められております。
本指針はこれを受けて定められているものとなりますが、上記改正により、これまで明確に示されていなかった「アフィリエイト広告」に関連して、事業者が講ずべき措置の内容が示されるようになりました。
すなわち、アフィリエイト広告(ウェブサイトの運営者等が当該サイト等に当該運営者等以外の者が提供する商品又は役務のリンク等を掲載し、当該サイト等を閲覧したものがこれらをクリックする等一定の条件に応じて運営者等に成功報酬が入る仕組み)は、アフィリエイターによる虚偽広告等を誘発しやすい仕組みであるところ、不当表示のおそれのあるアフィリエイト広告については、広告内容はあくまでアフィリエイターが作成したものであり広告主の責任ではないとして一切責任を取ろうとしない広告主が見られるなど、その責任主体がアフィリエイターなのか、広告主なのかなどといった点について従前から争いがありました。
そして、この点について、消費者庁は、令和4年2月15日に報告書(アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書 (caa.go.jp))を公表し、「ASP(注:アフィリエイト・サービス・プロバイダー)やアフィリエイターにも一定の責任はあると考えられるものの、まずは『表示内容の決定に関与した事業者』とされる広告主が責任を負うべき主体であると考えられる」といった見解を示している状況でした。
改正後の本指針では、上記に鑑み、表示等を行う事業者と取引関係はあるが、表示等を行っていない事業者(「取引関係事業者」)に関して、「取引関係事業者が、当該表示等を行う事業者から当該表示等の作成を委ねられている場合には、当該表示等を行う事業者は、自らの措置の実効性が確保できるよう、取引関係事業者に対し、自らの措置についての理解を求め、取引関係事業者が作成する表示等が不当表示に該当することのないよう指示をすることが求められる」と定めるなど、取引関係事業者に対する対応について、一定の方向性を示しております。
その他、本指針別添の「事業者が講ずべき表示上の措置の具体的事例」も併せて改正されており、事業者が講ずべき措置の具体例が示されております。
詳細については、以下の消費者庁のHPよりご確認下さい。
≪弁護士 山口源樹≫