コラム

建物の表示登記「構造」欄(建物の主たる部分の構成材料)の記載について(「鉄骨・鉄筋コンクリート造」と「鉄骨鉄筋コンクリート造」)

弁護士藤原 孝仁

建物の不動産登記をみると「表題部」に建物自体の現況が表示されており、その中に建物の「構造」の表示欄があります。

このことは、建物の不動産登記を見たことがある人であればご存知の通りであり、登記簿謄本を見慣れている不動産業界や金融業界の方などからしますと「構造」の表示は建物の主たる部分の構成材料、屋根の種類及び階数の記載がなされているということで特に注意を払うこともない記載事項かもしれません。

この「構造」欄の記載について時折、

『鉄骨・鉄筋コンクリート造』との記載がなされているのですが、これは『鉄骨鉄筋コンクリート造(=SRC造)』ということでいいのでしょうか。」

といった類のご質問を受けることがあります。

一見同じことを意味する記載のようにも見えますが、実は、建物の登記に「鉄骨・鉄筋コンクリート造」と記載されている場合の建物の主たる部分の構成材料は、「鉄骨鉄筋コンクリート造(=SRC造)」ではなく、「鉄骨造(=S造)」と「鉄筋コンクリート造(=RC造)」という異なる2種類の構造からできている建物でそれぞれの構成がいずれも概ね3分の1を超えている場合を意味します(不動産登記法第27条第4号、不動産登記規則第114条第1号、不動産登記事務取扱手続準則第81条1項・2項、昭和63年3月24日民三第1826号民事局第三課長回答第五)。

仮に、主たる部分の構成材料が「鉄骨鉄筋コンクリート造(=SRC造)」のみの場合、建物の表示登記の「構造欄」の記載には「・」が入りません。

例えば「木造」と「鉄骨造」との複合で「木・鉄骨造」と記載されている場合に「木鉄骨造」という構造があるのかといった誤解は生じにくいかと思われますが、「鉄骨鉄筋コンクリート造(=SRC造)」がある関係で「鉄骨・鉄筋コンクリート造」との記載については誤解が生じてしまうことが時折あるようです。

普段あまり気にしない建物の「表示」の登記ではありますが、意外と注意が必要かもしれません。

以上