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【ニュース】日本版コーポレートガバナンス・コードについて

弁護士小野 顕

現在、東京証券取引所と金融庁が共同して、有識者会議の開催により「コーポレートガバナンス・コード」の策定を進めております。

http://www.tse.or.jp/rules/cg/cg-code/

これは、本年6月24日に閣議決定された『「日本再興戦略」改訂2014―未来への挑戦―』に基づくもので、同「日本再興戦略」改訂2014では、「持続的成長に向けた企業の自律的な取り組みを促すため」に来年の株主総会に間に合うよう策定され、東京証券取引所の上場規則により、上場企業に対して(機関投資家に対する指針としての日本版スチュワードシップ・コードと同様に)“Comply or Explain”(原則を実施するか、実施しない場合にはその理由を説明するか)を求めるものとされておりました。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/honbun2JP.pdf(本文18頁、30~31頁)

また、この「コーポレートガバナンス・コード」に関しては、本年10月6日付で、日本取締役協会から、有識者会議の審議の参考に供すべきものとして、上場会社の取締役会議長は代表権を持たない非業務執行取締役が務めるべきこと、機関設計として監査役会設置会社を選択する場合には理由を開示すべきこと、上場会社の取締役のうち3名または3分の1のいずれか多数以上を独立取締役とすべきこと、上場会社はその独立性基準で就任後8年超の社外取締役・社外監査役は独立取締役・独立監査役の要件を満たさない旨を定めるべきこと、上場会社における指名諮問委員会及び報酬諮問委員会の設置などを内容に含む「コーポレートガバナンス・コード(日本取締役協会案)」が金融庁に提出されていました。

http://www.jacd.jp/news/odid/141006_post-143.html

金融庁の発表資料によれば、本年11月25日に開催された上記有識者会議(第7回)の資料「コーポレートガバナンス・コードの基本的な考え方に係るたたき台」では、上場会社は「独立社外取締役」を少なくとも2名以上選任すべき旨、これを超えて自主的な判断により3分の1以上の「独立社外取締役」を選任することが必要と考える上場会社はそのための取組み方針を開示すべき旨などが、上記「日本再興戦略」改訂2014で触れられていた政策保有株式の保有方針・議決権行使基準の説明・開示等とあわせて、その内容とされています。

http://www.fsa.go.jp/singi/corporategovernance/siryou/20141125/01.pdf

本年6月に成立した改正会社法では、社外取締役の要件が厳格化されるとともに、そのような社外取締役を1名も置かない監査役会設置会社(公開会社であり大会社であるものに限る)は、定時株主総会(及び事業報告)で、社外取締役を置くことが相当でない理由を開示することが義務化されました。また、各証券取引所の上場規則では、既に本年2月、取締役である独立役員を1名以上確保する努力義務を上場会社に課す内容の改正が行われています。上記の状況からは、今般の「コーポレートガバナンス・コード」は、独立性を有する取締役の人数のみをみても、更なる厳格な対応を上場会社に求める内容となることが予測されます。報道によれば、次回の有識者会議は本年12月12日に開催され、最終案のとりまとめに向けての議論がなされるとされており、来年の株主総会に先立っての経過措置の有無を含め、その内容と進捗が大変注目されるところです。