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適格機関投資家等特例業務の見直しに係る政令・内閣府令案等の施行見送りについて

 平成26年5月14日、金融庁は、適格機関投資家特例業務(金商法第63条第1項第1号柱書、金商法施行令第17条の12第1項)について、同施行令第17 条の12の改正及び金融商品取引業等に関する内閣府令第233 条の2の新設並びに関連する監督指針の改正による規制強化案を出していました(パブコメ終了は6月12日、施行予定日8月1日)。これは、いわゆるプロ向けファンドの販売等を行う業者の中に不適切な勧誘を行うものが存在し、知識や経験が乏しく十分な投資判断能力を有するとは見込まれない一般投資家(49名までが可能)が被害を受ける事例が発生している点を理由としていたものです。またこれに先立つ、平成26 年4月18 日には、証券取引等監視委員会による「出資者に係る要件を厳格化する等、一般投資家の被害の発生等を防止するための適切な措置を講ずる必要」との建議等も出されており、これを踏まえたものでした。

 上記改正案では、投資家保護の観点から、プロ向けファンドの販売先である一般投資家については、一定の投資判断能力を有すると見込まれる者に限定する必要があるとして、①金商業者等である法人、②いわゆるプロ向けファンドの運用者として集団投資スキーム持分を有する者から出資・拠出された金銭運用を行う金商法2条8項15号に掲げる行為を業として行う者、③上記②に該当する者の役員、使用人及び親会社等、④上場会社、⑤資本金が5000万円を超える株式会社、⑥特別の法律により特別の設立行為をもつて設立された法人、⑦資産流動化法2条3項に規定する特定目的会社、⑧一定の要件に該当する存続厚生年金基金又は企業年金基金、⑨外国法人、⑩投資性金融資産を1億円以上保有かつ証券口座開設後1年経過した個人、⑪前各号に掲げる者に準ずるものとして内閣府令で定める者、という内容に概ねなっていましたが、8月1日現在で、上記政令・内閣府令案の施行はなされておりません。一部報道では、ベンチャーキャピタルから資金が集めづらくなるなどの反対意見が出ていたことから、施行が見送られたとの指摘もなされています。

 今後、新たな改正案が提示されるのかどうかも含めて、適格機関投資家特例業務の規制強化が具体的にいつどのように現実に行われるのかは不明ですが、改正動向を引き続き注意深く見守る必要があろうかと思われます。