日本版クラスアクションの導入について
平成25年12月、集団的消費者被害救済制度(消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律)が国会で成立し、公布されました(施行は公布日より3年以内の予定)。これは、消費者と事業者との間の情報量や交渉力の格差や、被害額が少額であるために、個々の消費者が個別に提訴し被害回復を図ることが困難であり、泣き寝入りせざるを得なかった状況に鑑み、消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害を集団的に回復するために設けられた制度であり、「日本版クラスアクション制度」といわれています。
具体的な手続は二段階型が採用され、一段階目では、特定適格消費者団体が原告となって、事業者の共通義務(対象となる消費者全体に共通する事実上・法律上の原因に基づき、金銭を支払う義務)の有無について審理し(共通義務確認訴訟)、二段階目では、一段階目で事業者の共通義務が認められれば、個々の消費者の授権を受けた特定適格消費者団体が届け出た債権について、個別の事情に基づいて、事業者が消費者に支払うべき金額を審理する(簡易確定手続)という構造となっています(制度の詳しい内容は、消費者庁のサイトをご覧下さい。http://www.caa.go.jp/planning/index14.html
この制度は消費者被害の救済の実効性を確保するための制度として、消費者保護の見地からは重要な制度となりますが、他方において企業側からみますと、企業活動が受ける影響も少なくないと思われることから、施行前の段階から、各企業においてリスクマネジメントのあり方の見直しが重要な課題となってくるといえるでしょう。