反社会的勢力対応に関する金融庁の監督指針等の改正案について
金融庁が、金融機関・金融事業者における反社会的勢力への対応問題について、監督指針及び金融検査マニュアル等の各改正案を公表しました。金融庁が昨年12月26日付で発表した「反社会的勢力との関係遮断に向けた取組みの推進について」を受けたものであり、各改正案は、本年3月26日までパブリックコメント手続に付されることになります。
「主要行等向けの総合的な監督指針」等及び「金融検査マニュアル」等の一部改正(案)の公表について(平成26年2月25日付)
http://www.fsa.go.jp/news/25/20140225-1.html
(参考)反社会的勢力との関係遮断に向けた取組みの推進について(平成25年12月26日付)
http://www.fsa.go.jp/news/25/20131226-2.html
このうち主要行等向けの総合的な監督指針、並びに中小・地域金融機関、振替・清算機関、金融商品取引業者等、信託会社等、貸金業者向けの各監督指針の改正案では、反社会的勢力対応態勢の検証に際しての主な着眼点を、①組織としての対応、②反社会的勢力対応部署による一元的な管理態勢の構築、③適切な事前審査の実施、④適切な事後検証の実施、⑤反社会的勢力との取引解消に向けた取組み、⑥反社会的勢力による不当要求の対処、⑦株主情報の管理、の7つに分類し、それぞれに関して記載をおいています。従前の監督指針では、反社会的勢力からの不当要求への対応に関する記載が該当箇所のかなりの部分を占めていたのと比較して、いわゆる提携ローン問題を受け、上記①~⑤に関する記載が大幅に追加・新設等されております。またその他、保険会社向けの監督指針及び特定認可保険業者向けの監督指針では、上記に加え「保険金等の支払審査の実施」が独自の着眼点として挙げられています。
各種金融機関・金融事業者ごとの反社会的勢力への具体的対応のあり方については、上記提携ローン問題の発覚以降現在まで、様々な場で議論が繰り広げられてきたところです。これらの議論を踏まえた上で、まずは活発な意見が同改正案に対して寄せられることを期待したいところです。
また、現在通常国会にて審議中の会社法改正案(当事務所の本年2月26日付トピック「国会審議中の会社法改正案について」をご参照下さい)及び本年2月5日付の各証券取引所規則の改正(上場会社に取締役である独立役員を1名以上確保する努力義務を課すもの)を踏まえて、上場銀行及び銀行持株会社の主要な子銀行における独立性の高い社外取締役の確保に関しても、上記金融庁のページにて監督指針の改正案が公表されておりますので、あわせてご参照下さい。