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性別の取扱いを変更した男性を、その妻が非配偶者間人工受精により懐胎・出産した子の父であると認めた最高裁決定のご紹介

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(以下「特例法」といいます。)3条1項の規定に基づき男性への性別の取扱いの変更の審判を受けたAとその後Aと婚姻した女性であるBが、Bが婚姻中に懐胎して出産した子Cの、父の欄を空欄とする等の戸籍の記載について、戸籍法第113条の規定に基づき戸籍の訂正の許可を求めた事案について、最高裁第3小法廷は、特例法3条1項の規定に基づき男性への性別の取扱いの変更の審判を受けた者について、「一方でそのような者に婚姻することを認めながら、他方で、その主要な効果である同条による嫡出の推定についての規定の適用を、妻との性的関係の結果もうけた子であり得ないことを理由に認めないとすることは相当でないというべきである」とし、嫡出推定に関する民法第722条の適用があるとして、A らの訴えを認める判決をしました。

親子関係について、生殖補助医療の発達などにより民法が予想していなかった事態が生じ、様々な議論がなされているところでありますが、本件についても、いわゆる「推定の及ばない嫡出子」に関する判例との整合性をどのように考えるか等の複雑な問題を含んでいるように思われます。本判決に関与した5人の裁判官の意見も3対2に分かれております。

判決文全文については、以下のWebサイトをご参照下さい。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20131211164109.pdf