【ニュース】企業不祥事と内部通報制度への意識の高まり
有名企業による多くの不祥事が表面化し、主に弁護士で構成される第三者委員会による調査とその報告書の公表を余儀なくされ、世間に騒がれるケースが相次いでいます。
公表されている近時事例についての第三者委員会による報告書を読むと、その多くにおいて、いわゆる内部通報制度の有無やその実態、実効性について触れられており、これらが十分に機能していなかったとの指摘がなされているケースも散見されます。
「内部通報制度」とは、組織内の問題を知る従業員等からの情報を受付け、内部情報提供者保護を徹底しつつ調査・是正を図る仕組みのことをいい、事業者における不正発見端緒の第1に位置付けられています(後掲の消費者庁消費者制度課発表のガイドライン解説資料より)。
平成28年12月には、消費者庁から「内部通報制度の整備・運営に関する民間事業者向けガイドライン」が公表されています。これは、民間事業者が事業者内部からの通報に適切に対応するための指針として「公益通報者保護法に関する民間事業者向けガイドライン」が当時の内閣府国民生活局によって平成17年7月に公表され、翌18年4月には公益通報者保護法も施行されたものの、その認知度と実効性の高まりは必ずしも十分とは言えなかったことを受けて、先のガイドラインに改正がなされたものです。
一方、金融商品取引所の自主規制業務を専門に行う法人として日本取引所グループに設置されている日本取引所自主規制法人においても、平成28年2月に「不祥事対応のプリンシプル」が策定された後、平成30年3月には「不祥事予防のプリンシプル」が策定されており、その「原則1」として、実を伴った実態把握の仕組みを持続的かつ自律的に機能させることが挙げられています。なお、コーポレートガバナンス・コードにおいても、その「原則2-5」において内部通報の体制整備を求められています。
以上のように、内部通報制度に対する社会の意識はますます高まっているものの、これに応える仕組みを具体的に整備し運用することは、必ずしも容易ではないと思われます。当事務所ではこのようなご相談にも対応させて頂きます。
民間事業者向けガイドラインとその解説(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/whisleblower_protection_system/pr/briefing_pdf