医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書の改訂、及び医療法人によるステマ広告に対する措置命令について
Ⅰ 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書の改訂
医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書については、以下のページで以前からご紹介しているところです。
その後、令和6年3月の改訂で第4版が作成・公表され、さらに令和7年3月の改訂により第5版が作成・公表されています。
第4版の改訂時には、新たに、SNSや動画サイトにおける広告事例について、パトロールを基にした具体的違反例が示されました。
また、2型糖尿病の治療で保険適用されるGLP-1受容体作動薬をダイエットのために処方されることが問題となったことも踏まえ、同薬の表示を医療広告に用いられている事例を基に、承認された効能・効果と異なる目的で医薬品等を用いる自由診療や、未承認の医薬品等を用いる自由診療にかかる医療広告の違反事例等が紹介されました。
第5版の改訂においては、さらに、自由診療における再生医療について、科学的根拠が乏しい情報であるにもかかわらず、有効性や安全性が担保されていることを謳い又は暗示する表現が、禁止される誇大広告に当たるとされる事例等が紹介されています。
Ⅱ 医療法人によるステマ広告に対する措置命令の事例
景品表示法によるステマ広告規制については、当事務所の石井弁護士により、以下のページでご紹介しているところです。
ステマ広告規制違反については、行政機関から措置命令が出され(景品表示法7条1項)、さらにその命令に違反した場合には、2年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金刑を受ける可能性があります(同法46条)が、令和7年10月14日時点で、措置命令が出されたものとして消費者庁に公表されている事例は4件です。
そのうち2件は医療法人に対するものであり(消費者庁による公表事例としては1件目と4件目)、これらは非常に類似した事例でした。
措置命令を受けた医療法人は、いずれも、Googleマップにおける、同法人が経営する医療機関の口コミ投稿欄に、高評価を示す星マークや感想を投稿すること等を条件として、料金を割り引くことや、クオカードを提供すること等を顧客に伝えており、実際に顧客がそのような投稿をしたという事例です。
これら医療法人に対する措置命令の事例の1件目の公表は令和6年6月であり、2件目は令和7年3月でした。
医療法人に限らず、この規制の内容や措置命令を受けた事例を知らずに、同様のことを行っている事業者も多いのではないでしょうか。
以上
≪弁護士 中野 丈≫
