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電子商取引及び情報財取引等に関する準則の改訂

弁護士

民法が改正されたことを踏まえ、電子商取引及び情報財取引等に関する準則(以下「電子商取引等に関する準則」といいます。)が本年8月に改訂されましたので、ご紹介いたします。

電子商取引等に関する準則は、電子商取引等に関して発生する様々な法的問題点について、民法をはじめとする関係法令がどのように適用されるのかを明らかにすることにより、取引当事者の予測可能性を高め、取引の円滑化に資することを目的として、平成14年3月に策定されたものです。

電子商取引等に関する準則について、民法改正に伴って改訂がなされた主な内容は以下のとおりです。

  • 意思表示の効力発生時期関係
    民法が到達主義(承諾通知が到達した際に意思表示の効力が発生するというルール)を採用することとしたことに伴い、記述が見直されました。
  • 錯誤関係
    民法の錯誤による意思表示についての要件に即してあてはめを行うなど、記述が見直されました。
  • 定款約款関係
    民法に定款約款に関する規定が新設されたことに伴い、①利用規約の定款約款としての契約への組み入れ、②定款約款となる利用規約の開示、③定款約款となる利用規約の契約締結後の変更、④事業者間契約と定款約款、⑤定型約款の規定が適用されない利用規約の契約への組み入れと契約締結後の規約変更、の項目が新設されました。
  • 売主の担保責任関係
    民法の売主の担保責任についての要件に即してあてはめを行うなど、記述が見直されました。
  • 原状回復義務関係
    ライセンス契約終了時におけるユーザーが負う義務の内容等について、修正がなされました。

以上の点の他に、電子商取引等の実務、関連する技術の動向を踏まえた改訂もございますが、それらについては経済産業省のホームページをご覧頂ければと存じます。

https://www.meti.go.jp/press/2020/08/20200828001/20200828001.html

電子商取引等に関する準則は、事業者や消費者を拘束するものとまではいえませんが、取引上負いうるリスクを理解して取引するに当たっては十分に参照する価値のあるものかと存じます。とりわけ昨今IT分野の環境変化は速く、日々新たな形のビジネスやサービスが登場しており、そのような新しいビジネスに挑もうとする方々は、是非ご参照ください。