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令和7年改正公益通報者保護法~体制整備の徹底と不利益取扱いへの罰則等導入~

弁護士髙石 竜一

公益通報者保護法の改正法(令和7年法律第62号。以下「令和7年改正公益通報者保護法」といいます。)が、令和7年6月4日に国会で可決され成立しました。

令和7年8月19日時点で施行日は未定ですが、公布の日から起算して1年6か月以内に施行されることとされています。

令和7年改正公益通報者保護法には、事業者の皆様において注意していただくべきポイントがいくつか含まれておりますので、ご確認ください。

主なポイントは、以下のとおりです。

1 事業者が公益通報に適切に対応するための体制整備の徹底と実効性の向上

①常時使用する労働者の数が300人超の事業者が、従事者指定義務に違反した場合に、勧告・命令がなされたにもかかわらずこれに違反したときは、刑事罰(30万円以下の罰金、両罰)が課されることとなります。

②常時使用する労働者の数が300人超の事業者に対する立入検査権限が新設されるとともに、報告懈怠・虚偽報告、検査拒否に対する刑事罰(30万円以下の罰金、両罰)が新設されます。

2 公益通報者の範囲拡大

公益通報者の範囲にフリーランス(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律2条)が追加されます。

3 公益通報を阻害する要因への対処

①事業者が、労働者等に対し、正当な理由がなく、公益通報をしない旨の合意をすることを求めること等によって公益通報を妨げる行為をすることが禁止され、これに違反してされた合意等の法律行為は無効とされます。

②事業者が、正当な理由がなく、公益通報者を特定することを目的とする行為をすることが禁止されます。

4 公益通報を理由とする不利益な取扱いの抑止・救済の強化

①通報後1年以内の解雇又は懲戒は公益通報を理由としてされたものと推定されます。

②公益通報を理由として解雇又は懲戒をした者に対する直罰(6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金、両罰)が新設されます。また、法人に対する法定刑は3000万円以下の罰金とされます。

当事務所では、令和7年改正公益通報者保護法の内容を踏まえ、事業者の皆様が内部通報制度を導入し、又は、効果的に運用することをサポートするため、令和7年8月29日(金)に、「2025年改正公益通報者保護法対応! 弁護士と考える内部通報制度構築・運用の実務」と題するセミナーを実施いたします。

2025年改正公益通報者保護法対応! 弁護士と考える内部通報制度構築・運用の実務  【スプリング法律事務所×アクタス 経営リスクへの実務対応セミナー〈全4回〉 第3回】 | スプリング法律事務所 – SPRING PARTNERS

この機会に是非ご参加ください。

<弁護士 髙石 竜一>