会社法改正に関する法制審の議論がスタート(株式の発行、株主総会、企業統治など)
法務大臣は、令和7年2月10日、法制審議会に対し、会社法の改正についての検討を諮問しました。
【法制審議会第201回会議(令和7年2月10日開催)配布資料2「会社法制に関する諮問」】
https://www.moj.go.jp/content/001432748.pdf
諮問の趣旨は、近年における社会経済情勢の変化等に鑑み、株式の発行の在り方、株主総会の在り方、企業統治の在り方等に関する規律の見直しの要否を検討の上、当該規律の見直しを要する場合にはその要綱を示すこととされています。
これを受けて、法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会は、令和7年4月23日に第1回会議を開催し、検討を開始しました。
現段階で検討事項の例として挙げられているのは、主に以下の事項です。
① 株式の無償交付の対象範囲の見直し
従業員へのインセンティブ付与等の観点から、従業員に対して株式の無償交付を行うことができるようにすることを検討する。
② 株式交付制度の見直し
外国会社の買収においても株式交付制度を利用することができるようにすることを検討する。
③ バーチャル株主総会制度
バーチャルオンリー株主総会の規律を会社法に設け、実施要件を緩和することを検討する。
④ 実質株主確認制度
会社と株主の対話を促進するため、株主名簿に記載・記録されている株主の背後に存在する実質株主を確認するための制度の導入を検討する。
⑤ 株主総会の在り方・株主提案権の見直し
株主総会の実開催を不要とする制度の導入や、株主提案権の濫用的行使への対応のための要件見直しなどを検討する。
⑥ 指名委員会等設置会社制度の見直し
利用が低調である指名委員会等設置会社制度の見直しを検討する。
詳細は、法務省ホームページの下記資料をご確認ください。
【法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会第1回会議(令和7年4月23日開催)部会資料1「会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しにおける検討事項の例」】
https://www.moj.go.jp/content/001438047.pdf
上場会社の運営に比較的大きな影響を及ぼす事項の検討が予定されていますが、実質株主確認制度(上記④)や株主総会の在り方(上記⑤)の検討によっては、中小企業の運営にも一定の影響が生じ得るものと考えられます。
法制審議会での議論の推移を注視しつつ、実務上の対応も含め皆様に情報をご提供してまいりたいと存じます。
<弁護士 髙石 竜一>