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下請取引における手形等のサイトについて

弁護士山口 源樹

事業者の皆様におかれましては、下請取引における手形等(手形、一括決済方式又は電子記録債権をいいます。以下同じ。)のサイト(支払期日から満期日等までの期間)についてはどのように定められているでしょうか。

現状、同サイトを90日や120日といった期間にて定めている事業者の方もいらっしゃるかと存じますが、公正取引委員会及び中小企業庁より、令和6年から、同サイトを60日以内へ短縮をするよう要請が行われているのはご存じでしょうか。以下ご紹介いたします。

1 現在の運用について

下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」といいます。)においては、下請取引における「下請代金の支払期日までに一般の金融機関の割引を受けることが困難」な手形を決済に用いることを禁止しています(下請法第4条第2項第2号)。

この「割引を受けることが困難であると認められる手形」とは、一般に、その業界の商慣行、親事業者と下請事業者との取引関係、その時の金融情勢等を総合的に勘案して、ほぼ妥当と認められる手形期間を超える長期の手形と解されています。

そして、公正取引委員会及び中小企業庁における現在の運用としては、昭和41年3月11日の通達により、繊維業は90日、その他の業種は120日を超える長期手形による決済については、上記の割引困難な手形の交付の禁止に該当するおそれがあるものとして取り扱い、指導を行っている状況です。

2 令和3年3月31日通達及び今後の運用について

令和3年3月31日、新たに「下請代金の支払手段について」とする通達が発出されました。同通達により、令和6年には、手形等のサイトを60日以内にするよう要請が行われております。

同通達の具体的内容についてはこちらをご覧ください。

下請代金の支払手段について(令和3年3月) | 公正取引委員会 (jftc.go.jp)

令和6年1月1日から直ちに現金化期間が60日を超える手形等による支払いが指導等の対象になるものではないと思われますが、同年中には、公正取引委員会や中小企業庁から、現在の運用を改める旨の正式な発表等がなされる可能性があります。

事業者の方々におかれましては、各機関からの発表を注視いただくとともに、現状の取引の見直しをしていただければと存じます。

≪弁護士 山口 源樹≫