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フリーランス・事業者間取引適正化等法の成立

弁護士髙橋 祥子

1.特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)
 2023年(令和5年)4月28日、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号。以下「フリーランス・事業者間取引適正化等法」といいます)が成立し、5月12日に公布されました。
 同法は、エンジニアや配達員など組織に属さず個人(あるいは他に役員・従業員がいない個人会社)で働くフリーランスを保護するもので、フリーランスに業務委託をする事業者に対し、取引条件の明示、原則として給付受領日から60日以内での報酬支払、ハラスメント対策のための体制整備等を義務付けるものとなります。
 現行の下請法(下請代金支払遅延等防止法)においても、フリーランスを含む「下請事業者」に対し発注等行う企業等に対して取引条件の明示や60日以内の報酬支払等を義務付ける定めはあるものの、同法の規制対象の「親事業者」は発注等の内容等に応じて資本金の額をもって定義されており、基本的に資本金1000万円以下の事業者は対象外でした。
 今般成立したフリーランス・事業者間取引適正化等法では、資本金1000万円以下の小規模な企業や、個人事業主(特に従業員を使用している個人)であっても、フリーランスに業務委託をする場合は対象となり得ることとなります。
 フリーランス・事業者間取引適正化等法は、上記公布日から1年6ヶ月内に施行されます。

2.規制の概要
 フリーランス・事業者間取引適正化等法の概要は、以下のとおりです。

(1)取引の適正化
  ①フリーランスに業務委託をした場合、直ちにフリーランスの給付内容・報酬の額・支払期日等を書面又は電磁的方法により明示しなければならない
  ②フリーランスからの給付受領日から60日以内の報酬支払期日を設定し支払わなければならない(再委託の場合元委託支払期日から30日以内)
  ③フリーランス側の帰責性なく受領拒否・報酬減額・返品すること、著しく低い報酬の額を不当に定めること、正当な理由なく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制すること、自己のために金銭役務その他の経済上の利益を提供させること、フリーランス側の帰責性なく内容変更・やり直しさせることはしてはならない

(2)フリーランスの就業環境の整備
  ①広告等により募集情報を提供するときは、虚偽表示・誤解を生じさせる表示をしてはならず、正確かつ最新の内容に保たなければならない
  ②フリーランスの申出に応じて、フリーランスが育児介護等と両立して継続的業務委託(政令で定める期間以上のもの)に係る業務を行えるよう必要な配慮をしなければならない
  ③フリーランスに対するセクハラ・パワハラ等への相談対応等に必要な体制整備等の措置を講じなければならない
  ④フリーランスへの継続的業務委託を中途解除・更新拒絶する場合は、原則として30日前までに予告しなければならない

現時点でフリーランス・事業者間取引適正化等法の施行日は未確定ですが、今後、各企業においてフリーランスとの契約書面の見直し等が必要となってくると考えられます。当事務所では、かかる取引についても各企業の事情に応じた適切な法的アドバイスが可能です。

【弁護士 高橋祥子】