破産に至る前にできること~私的整理~
昨今、大小問わず多くの会社が、資金繰りが困難となり、破産せざるを得ない状況に追い込まれています。
世界市場で大きなプレゼンスを誇ったメーカーや、教育関連会社の破産が世間の耳目を集めたことは、記憶に新しいところです。
弊所にご相談を頂く企業様の中には、既に資金繰りがショートしている企業様や、給与・商取引債権の支払いが困難なまでの財務状況に至っている企業様もあり、こうした企業様においては、事業を停止し清算を行う破産手続開始の申立てを行わざるを得ないことが多いのが現状です。
しかし、いずれ資金繰りのショートが見込まれる場合であっても、事業から一定以上の利益を上げられており、かつ、金融機関に対する返済を一時的に棚上げできれば、当面の間、給与や商取引債権を問題なく支払うことができるようなときには、破産を回避し、事業を継続する道を選ぶことができる可能性があります。
選択肢の一つとして、いわゆる私的整理があります。
私的整理は、原則として、金融機関のみを対象とし、裁判所を通さずに、金融負債の減額やリスケジューリングについて、合意の形成を図るものです。
私的整理においては、金融機関を除く取引先に対し、信用不安を知られることなく債務整理を行うことができるため、企業様の事業価値を毀損することなく再建を図ることができます。また、裁判所に対して高額の予納金を支払う必要がないことから、民事再生と比較すると、低廉な費用で手続を進めることが可能です。
反面、私的整理のためには、全金融機関の同意が必要となるため、ハードルが高くなっています。
この点に関連し、現在、経済産業省の産業構造審議会経済産業政策新機軸部会事業再構築小委員会において、多数決による私的整理制度の導入が検討されています。現在検討中の制度は、議決権者の議決権の総額の4分の3以上の賛成により、金融債務の減額・リスケジューリングを可能するものであり、早ければ、令和7年の通常国会で関連法案が提出される予定です。制度の検討状況は、下記資料をご参照ください。
【産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会事業再構築小委員会報告書(案) -早期での事業再生の円滑化に向けて-】
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shin_kijiku/business_restructuring/pdf/005_03_00.pdf
当事務所には、私的整理を含む各種倒産手続に熟知した弁護士が多数在籍しており、企業様の状況に応じた適切な手続の選択や遂行をサポートする体制を整えております。是非お早めにご相談ください。
以上