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知的財産戦略本部策定の「知的財産推進計画2014」の概要について

我が国の知的財産の創造、保護及び活用に関する施策を集中的かつ計画的に推進するため、2003年3月に内閣に「知的財産戦略本部」(以下「知財本部」といいます。)が設置されましたが、知財本部は、毎年「知的財産推進計画」を策定しています。

そして本年も、7月4日に「知的財産推進計画2014」(以下「2014年計画」といいます。)が策定されましたので、その概要につきご紹介します。

2014年計画では、知財本部が昨年6月に策定した「知的財産政策ビジョン」(知財本部が今後10年程度の中長期を見通した知的財産分野の政策課題と取組に関してまとめたもの。以下「ビジョン」といいます。)において政策の柱とされた

第1 産業競争力強化のためのグローバル知財システムの構築

第2 中小・ベンチャー企業の知財マネジメント強化支援

第3 デジタル・ネットワーク社会に対応した環境整備

第4 コンテンツを中心としたソフトパワーの強化

の4分野に関し、以下のとおり12の政策分野についての課題と取組を記載しています。

第1 産業競争力強化のためのグローバル知財システムの構築

 1. 「世界最速・最高品質の特許審査」の実現及び知財システムの国際化の推進

 2. 職務発明制度の抜本的な見直し

 3. 営業秘密保護の総合的な強化

 4. 国際標準化・認証への取組

 5. 産学官連携機能の強化

 6. 政府が中心となった人財育成の場の整備

第2 中小・ベンチャー企業の知財マネジメント強化支援

 1. 中小・ベンチャー企業及び大学の海外知財活動支援

第3 デジタル・ネットワーク社会に対応した環境整備

 1. デジタル・ネットワークの発達に対応した法制度等の基盤整備

 2. アーカイブの利活用促進に向けた整備の加速化

第4 コンテンツを中心としたソフトパワーの強化

 1. コンテンツの海外展開促進とインバウンドとの連携

 2. 模倣品・海外版対策

 3. コンテンツ人財の育成

2014年計画では、上記12の政策分野のうち、産業競争力強化の観点から最重要課題として取り組むべき以下の5分野を「知財本部における最重点5本柱」としています。

1. 職務発明制度の抜本的な見直し

2. 営業秘密保護の総合的な強化

3. 中小・ベンチャー企業及び大学の海外知財活動支援

4. コンテンツの海外展開促進とインバウンドとの連携

5. アーカイブの利活用促進に向けた整備の加速化

上記のうち、例えば「職務発明制度の抜本的な見直し」の問題に関しては、既に報道等で知財本部や経済産業省(特許庁)における議論をご存じの方もおられるかと思いますが、2014年計画では、経済産業省(特許庁)を中心として重ねられている検討を支援し、議論を加速化させるため、職務発明制度の見直しに当たってのポイントとして以下の3点を提言しています。

① 産業界の発明インセンティブの確保の重要性

  産業界が発明のインセンティブ確保にしっかり取り組むことを前提として初めて法人帰属ないし当事者の契約に任せるという制度設計が可能となる。

② 柔軟な制度設計の必要性

  大学の研究者や企業のいわゆるスーパー研究者に配慮した柔軟な対応が可能となる制度設計とする。

③ 基礎的なデータ収集の必要性

  研究者のインセンティブ等に関する基礎的データを収集し、これに基づいた検討が必要である。

その上で、職務発明制度の在り方について、特許庁において実施した調査結果等の客観的資料に基づき、例えば、法人帰属や使用者と従業員などとの契約に委ねるなど、研究者の研究開発活動に対するインセンティブの確保と企業の国際競争力・イノベーションの強化を共に実現できるような制度設計をすべく、産業構造審議会知的財産分科会での議論を加速化させ、2014年度のできるだけ早い時期に、法制度上の措置を講ずることの必要性も含め、結論を得ることが明記されています。

その他の政策分野についても、「産業競争力の強化」の観点から、様々な取組に関する言及がなされています。

2014年計画の内容については、今後の知的財産に関する施策の方向性を示すものとして参考になるように思いますので、ご興味のある方は、2014年計画の内容(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/)につき、ご一読いただければと思います。

                                     以上