マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律について
平成26年6月18日にマンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下「マンション建替法」といいます)の一部を改正する法律が成立し、同月25日に公布されています。同法の施行期日は平成26年12月24日です。
同法は、東日本大震災の影響などを受けて、地震に対する安全性が確保されていないマンションの建替え等の円滑化を目的として制定されました。
同法では、マンション及びその敷地の売却を5分の4の多数決により行うことを可能とする制度(マンション敷地売却制度)が創設されました。
マンションの建替えについては、従前より、区分所有法による建替えとマンション建替法による建替えが、いずれも5分の4以上の賛成・決議で実施できることとなっています。しかしながら、いずれについても、新しいマンションを前提として、これに対して従前からの居住者がどう移転していくのか(新しいマンションのどこに移転するのか、それぞれの追加負担はいくらか等)について、権利調整が非常に大変であると言われています。それも理由としてあるのか、実際、マンション建替工事完了件数は、毎年数件又は10数件と、マンション全体戸数からみると極めて少ないようです。
今回創設されたマンション敷地売却制度では、売却の相手方、売却代金及び分配金の算定方法を決議するのみとなるため、従前よりも区分所有者による合意形成が容易となると言われています。
なお、今回のマンション敷地売却制度は、耐震性不足のマンションに係る特例制度となっているため、まず特定行政庁による耐震性不足の認定を得ることが必要となります。
また、今回の法改正では、耐震性不足の認定を受けたマンションの建替えにより新たに建築されるマンションで、一定の敷地面積を有し、市街地環境の整備・改善に資するものについては、特定行政庁の許可により容積率の制限を緩和するという特例も設けられています。