情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)の動き
WebサイトやSNS等(法律上の呼称:「特定電気通信」)で流通した情報によって権利の侵害があった場合における、プロバイダやプラットフォーム事業者等(法律上の呼称:「特定電気通信役務提供者」)の損害賠償責任に関する制度や、これらの事業者等への発信者情報の開示を請求する権利及びそれに関する裁判手続について定めた「(通称)プロバイダ責任制限法」(正式名称:「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」の内容の一部が改正され、新たに「情報流通プラットフォーム対処法」と通称を変えて、2025年4月から施行されています。
旧プロバイダ責任制限法においては、2022年にも、インターネット上の誹謗中傷などによる権利侵害についての被害者救済をより円滑に図るために、発信者の情報開示を求める新たな裁判手続きを創設するなどの改正がなされてきました。
しかしながら、権利を侵害する投稿の迅速な削除といった被害者が求める救済が必ずしも容易には実現されず、インターネット上の違法・有害情報の流通が依然として大きな社会問題となっています。
これを踏まえ、今回の改正では、プロバイダやプラットフォーム事業者等のうち、そのサービスの規模が一定の大きさを超えるものを、「大規模特定電気通信役務提供者」として指定した上、この者に対して、削除対応の迅速化及び運用状況の透明化を図る義務を課すこととしました。これらの義務違反を犯した場合についての罰則も新たに定められています。(参照資料:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kaizokuban_taisaku/gijisidai/dai3/siryou5.pdf)
現在、大規模特定電気通信役務提供者として指定された者が行っているサービス名として、以下のものが公表されています。
・YouTube
・Yahoo!知恵袋、Yahoo!ファイナンス、LINEオープンチャット、LINE VOOM
・Facebook、Instagram、Threads
・TikTok、TikTok Lite
・ニコニコ(情報プラットフォーム対処法施行規則第8条第6項各号に定めるものを除く。)
・Amebaブログ
・爆サイ.com
権利侵害を受けた者の迅速な救済に繋がっていくのか、今後の動向に注目したいです。
≪弁護士 中野 丈≫