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【ニュース】民法改正に伴う建設工事標準請負契約約款の改正について

 公共・民間を問わず、建設工事に関しては「標準請負契約約款」により契約を締結することが多くあります。この「標準請負契約約款」とは、建設業法に基づき国土交通省に設置された中央建設業審議会が作成し、その実施を勧告するものですが(建設業法第34条第2項)、公共工事用として公共工事標準請負契約約款、民間工事用として民間建設工事標準請負契約約款(甲)及び(乙)、並びに下請工事用として建設工事標準下請契約約款があります。

 この度、約120年振りに民法の債権法が改正され令和2年4月1日から施行されるのに伴い、これらの標準請負契約約款(以下「約款」)についても中央建設業審議会による改正が行われ、同日から施行されることになっていますので、以下、約款の主な改正点を紹介します。

 ① 譲渡制限特約について

 改正前民法(以下「旧民法」)では、譲渡制限特約が付された債権譲渡は無効とされていたため、工事請負契約の場面においては、受注者(特に中小企業)による債権譲渡を利用した円滑な資金調達が阻害されているとの指摘がありましたが、改正後民法(以下「新民法」)では、譲渡制限特約が付されていても、債権譲渡自体は有効とされました。

 これを踏まえ、約款では、譲渡制限特約自体は維持されていますが、公共工事用の約款では、前払、部分払等によってもなお工事の施工に必要な資金が不足する場合には発注者は債権譲渡の承諾をしなければならないこととする規定、民間工事用の約款では、資金調達目的の場合には債権譲渡を認めることとする規定が、それぞれ選択して使用できることとされ、他方で、譲渡制限特約に違反した場合や、資金調達目的で債権譲渡したときにその資金を当該工事の施工以外に使用した場合には、請負契約を解除できることとされるなどの改正が行われています。

 ② 契約不適合責任について

 新民法では、旧民法の「瑕疵」との文言が「契約の内容に適合しないもの」と改められ、その場合の責任として、「履行の追完」と「代金の減額請求」が規定されました。

 これを踏まえ、約款においても「瑕疵」との文言が「種類又は品質に関して契約の内容に適合しないもの」と改められ、その場合の責任として、発注者は、修補又は代替物の引渡しによる履行の追完を請求できることとし、更に相当期間を定めた追完の催告にもかかわらず追完がないときは、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求できることとされるなどの改正が行われています。

 ③ 発注者の契約解除権について

 新民法では、債権者の解除権については催告解除と無催告解除に分けて規定されることになり、また、旧民法では、建物その他の土地の工作物について工事完成後に瑕疵を理由に契約を解除することはできませんでしたが、新民法ではそのような規定は削除されました。

 これを踏まえ、約款においても催告解除と無催告解除を整理した上で、工事完成後の解除事由として、催告解除に「正当な理由なく、履行の追完がなされないとき」、無催告解除に「引き渡された工事目的物に契約不適合がある場合において、その不適合が目的物を除却した上で再び建設しなければ、契約の目的を達成することができないものであるとき」が追加されるなどの改正が行われています。

 その他の改正点、改正の経緯、改正後の約款等は、以下の国土交通省ウェブサイトに詳しく掲載されておりますので、併せてご参照下さい。

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000092.html

≪弁護士 里見 剛≫