【ニュース】個人情報保護法制度改正の大綱(骨子)の公表
2019年11月29日、個人情報保護法制度改正の大綱(骨子)が公表されました。
個人情報保護法については、個人情報の保護に関する国際的動向、情報通信技術の進展、それに伴う個人情報を活用した新たな産業の創出及び発展の状況等を勘案し、3年ごとに見直しが検討されることになっており、2020年の法改正を念頭に準備が進められています。
本大綱(骨子)は、2019年4月25日の中間整理及び同中間整理に対するパブリックコメント並びに有識者等からのヒアリングを踏まえて策定されたものです。
中間整理の段階では検討対象に含まれておらず新たに追加された項目としては、①本人の開示等の請求対象となる保有個人データについて、保存期間により限定しないことに改めること(=現在は除外されている6か月以内に消去する短期保存データも保有個人データに含めること)、②個人情報の利用目的や第三者提供に係る制限の例外とされる「公益目的に基づく個人情報の取扱い」について、「公益目的」と認められる具体的事例をガイドラインに追加すること等を通じて国民全体に利益をもたらすデータ利活用を促進することが挙げられます。
その他、クッキーのようにそれ自体は個人データに該当しない情報であっても、当該情報の提供先において個人データとなることが明らかな情報について、個人データの第三者提供制限の規律を適用すること等、これまでは業界ガイドラインに委ねていた事項も今後は個人情報保護法の規律対象となることが予定されています。
改正に係る大綱(骨子)の項目は以下のとおりですが、個々の改正項目については、今後の立法に向けた動向に注視しながら個別に解説していくことを予定しています。
Ⅰ.個人データに関する個人の権利の在り方
① 利用の停止、消去、第三者提供の停止の請求に係る要件の緩和
② 開示のデジタル化の推進
③ 開示等の対象となる保有個人データの範囲の拡大
④ オプトアウト規制の強化
Ⅱ.事業者の守るべき責務の在り方
① 漏えい等報告及び本人通知の義務化
② 適正な利用義務の明確化
Ⅲ.事業者における自主的な取組を促す仕組みの在り方
① 認定個人情報保護団体制度の多様化
② 保有個人データに関する公表事項の充実
Ⅳ.データ利活用に関する施策の在り方
① 「仮名化情報」の創設
② 提供先において個人データとなる場合の規律の明確化
③ 公益目的による個人情報の取扱いに係る例外規定の運用の明確化
④ 個人情報の保護と有用性に配慮した利活用相談の充実
Ⅴ.ペナルティの在り方
Ⅵ.法の域外適用の在り方及び越境移転の在り方
① 域外適用の範囲の拡大
② 外国にある第三者への個人データの提供制限の強化
Ⅶ.官民を通じた個人情報の取扱い
① 行政機関、独立行政法人等に係る法制と民間部門に係る法制との一元化
② 地方公共団体の個人情報保護制度
大綱(骨子)の具体的内容や2019年4月に公表された中間整理及びこれに対するパブリックコメントの内容については、下記を参照下さい。
《弁護士 石井林太郎》
個人情報保護法 制度改正大綱(骨子)
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/191129_shiryou1.pdf
中間整理
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/press_betten1.pdf
中間整理に対するパブリックコメント
https://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000189960