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【ニュース】「事業承継ガイドライン」(中小企業庁)の公表

 中小企業庁は、12月5日、「事業承継ガイドライン」(以下「本ガイドライン」といいます。)を策定・公表し、我国の中小企業経営者の高齢化の現状を踏まえて、中小企業に蓄積されたノウハウ・技術の継承と活性化を目指した円滑な事業承継を具体的な事例を紹介しながら指針として示しました(注1)。

 本ガイドラインでは、事業承継を(特に中小企業の)事業の構成要素である「人(経営)」並びに資産(一般の事業財産と知的資産)に分類し、それらを円滑に承継させるための[1]準備プロセス、[2]課題と対応、及び[3]円滑に行うための手法、をそれぞれ紹介しています。特に準備プロセスにおいては、事業承継に向けた5つのステップとして、①事業承継に向けた準備の必要性の認識、②経営状況・経営課題等の把握、③事業承継に向けた経営改善、④事業承継計画の策定(親族内・従業員承継の場合)・マッチングの実施(社外へのM&A等による承継の場合)及び⑤事業承継行為の実行、をそれぞれ具体例とともに紹介しております。また、課題と対応についても、ア)親族が承継する場合、イ)従業員が承継する場合、及びウ)社外の第三者へ引き継ぐ場合のそれぞれにおける留意点を、上記の「人」と「財産」の双方の側面からそれぞれ円滑な承継のためのポイントとして指摘するとともに、特に「財産」に関しては、その承継における課税関係の対応への意識喚起と株式や事業用財産の分散を回避するための具体的方法、更には金融機関等への債務保証への対応等を紹介し、M&Aにおける実行プロセスの紹介と留意点も示してしております。

 中小企業経営者の事業承継においては、「人」と「財産」に関わる広範な法的関係の分析・整理と当該各中小企業の実情に合致した対応を検討し導入していくことが肝要となります。その検討範囲は、遺言や遺留分に関する相続法(民法)関係、株主権や取締役としての経営行為に関する会社法関係、従業員に対する労働法関係、金融機関と債務整理を含めた法制(民事再生等)、M&Aに関する契約関係や会社分割や事業譲渡等の事業再編のための会社法制度にまで及び、それらが密接に深く関わっております。更にこれらの法制度はそれぞれの分野における税務・会計制度と密接に連動しており、本ガイドラインにおいても、法務、税務及び会計の複合的な視点と関与での専門家の役割の重要性が指摘されております。当事務所は、かかる事業承継分野で既に十分な実績と経験を蓄積してきておりますとともに、隣接専門家である税理士・公認会計士との密接な協同体制とネットワークを実際に構築しており、その連携体制を活用した事業承継への対応業務をご提供しております。今や事業承継は避けて通れない現実の問題ですので、ぜひ早めに当事務所へご相談をされることをお奨め致します。

(注1)http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2016/161205shoukei1.pdf 参照。