国際的な事案について相談したい場合

1. 国際案件のご相談の契機

グローバル化が進んだ今日においては、どのような規模の企業、個人事業主であっても、海外企業と取引を行うことは避けられない時代になってきています。また、国際的な取引に関係する事案だけでなく、例えばご自身や親族が外国の方と結婚したことにより、国際的な相続案件に巻き込まれることもあり得、やはり国際的な案件が全ての方にとって身近になっているといえます。

商習慣が異なる海外の相手方と何らかの取引をする場合には、国内取引よりも共通理解が少ないため、基本的な取引の進め方等の基本的事項や取引上の重要事項のほか、解除事由、救済方法や準拠法等の法的な事項も契約書で明示することがより重要といえ、経験のある弁護士に相談することをお勧めします。 国内での契約プラクティスは日常的にあるが、海外との取引は経験がなく、その進め方も含め知識がなく不安があり相談に乗って欲しいというご要望もよくあります。そのような不安を解消するためにも、弁護士に相談することをご検討ください。

また、海外企業が日本国内に進出したい(インバウンド)、逆に日本企業が海外に進出したい(アウトバウンド)といったご相談をお受けすることもあります。

以下では、国際案件をご相談いただく場合の一般的な流れを紹介します。

2. ご相談について(海外企業との取引一般)

(1)お打合せにご参加いただく方

海外企業と取引をする必要が生じる場合や、英語での契約を締結する必要性が生じる場合、直接、弁護士とお打合せいただく方は会社の規模やご状況によって様々です。会社代表者、法務部の方、契約書の処理を担当している総務部の方、又は相手方やその取引に詳しい(海外)営業部門の方にお打合せをお願いする場合もあります。基本的には、その取引やその商品、相手方、取引の経緯について最も詳しい方や、相手方との窓口になっている方と、直接お打合せします。

海外在住の方も含め、東京以外のご依頼者からご相談を受けることも多いため、メールにて基本情報のやりとりや日程調整をした上で、WEB会議にてお打合せをすることも多くあります。

(2)必要な資料

  • (Sales Agreement、Service Agreement、NDA等、取引段階や取引内容に応じてご相談の対象となる契約書は様々ですが)ご依頼者が準備された契約書ドラフトや、相手方から提示されている契約書ドラフト
  • それまで取引のある相手方であれば、既存取引の契約書
  • ご依頼者及び相手方の基本的情報がわかるもの(HPのURLや事業案内等)

これらの書類等については、初回のお打合せ時にご準備いただくのでも結構ですが、事前にメール等の方法で弁護士宛てにご送付いただけますと初回のお打合せがより充実したものになります。また、上記のような書類等がなく、一から契約書を作成することも可能ですので、その場合にはその旨をお申し付けください。

(3)伺う内容

どのような取引についての契約書を締結予定か、ご依頼者として譲れない条件の有無、特に懸念している事項、取引先との注文書等の具体的なやりとりの方法、目的物の検査方法、貿易取引条件、支払方法や支払サイト、相手方との関係等を伺い、契約書のドラフト又はレビューのための情報を確認します。

(4)国際案件特有の条項

国際案件に特有の事項として、衡平法・完全合意といった英米法上のコンセプト、準拠法や言語、紛争解決のための機関を訴訟とするか仲裁とするか等の問題が生じます。ご依頼者と相手方との関係や強制執行の必要性等を踏まえてアドバイスします。また、以下4の場合と同様に、契約書の準拠法を外国法とする場合には、当該外国の弁護士のアドバイスを受ける必要がある場合もあります。

3. インバウンド・アウトバウンド

(1)インバウンド

海外企業が日本に進出する場合、どのような会社形態が適切かといったご相談から始まり、会社設立のサポート、日本における労務関係のご相談、事業に関する契約の作成等のお手伝いをすることが多くあります。
また、日本の子会社の運営一般についてのサポート、コーポレート関係書類を日本語及び英語で作成してほしいとのご依頼もあります。

(2)アウトバウンド

日本企業が海外に進出する場合には、進出先の国・地域の法令に基づき事業を行う必要があることから、弁護士等の専門家との連携が必要となります。当事務所が所属している弁護士・会計士のグローバルなアライアンスグループであるAlliottグループのネットワーク、また、これまで当事務所が培ってきた海外のネットワークにより、海外の専門家のご紹介も可能であり、それら海外の専門家との間の英語でのやりとりも、当事務所の弁護士が窓口となる等も含め、ニーズに応じてサポートします。

4. M&A等の場合

外国企業を買収する場合や、外国企業が日本企業を買収する場合等のご相談を受けることも多々あります。M&Aの場合、その基本的な手順は国内の場合と大きく変わらないことも多いですが、各契約書の準拠法が外国法の場合、海外の弁護士等の専門家の助言を得る必要があります。また、外国法が準拠法となっている既存の契約書に関連する海外の相手方との交渉・紛争案件についても、海外の法律及びその解釈、紛争解決手段について海外の弁護士等のアドバイスが必要となります。

このような場合には、上記と同様、当事務所のネットワークを利用して海外の専門家のご紹介も可能であり、それら海外の専門家との間の英語でのやりとりもサポートします。

5. お見積書や業務委託契約の作成・締結、レビュー・ドラフト等の業務

お打合せを踏まえ、お見積書・業務委託契約書を作成し、ご依頼者との間で締結・合意後に、ご依頼いただく契約書のドラフト・レビュー等の業務に入ります。必要に応じて再度のお打合せ等を行い、相手方に提示する契約書案を弁護士が作成し、相手方にご送付いただきます。多くの場合、相手方からのレビューが戻されますので、相手方の要望について応諾可能か、ご依頼者のご要望を再提案するか等を検討し、双方が合意できる締結版の作成に向けて業務を行います。