【ニュース】改正景表法の施行及び事業者向け指針のQAの公表
不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律(平成26年法律第71号)により不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)が改正され(以下「改正後景表法」といいます。)、平成26年12月1日から施行されました。これは、食品表示等の不正事案の多発やホテルや百貨店、レストラン等において、メニュー表示と異なった食材を使用して料理を提供していた事案の多発を背景に、消費者保護とともに「日本の食」に対する国内外の信頼が揺らぎかねない事態であることへの対応の必要性等から改正に至ったものです。改正の過程では、行政の監視指導体制の強化とともに、事業者の表示管理体制の明確化と強化が必要である旨が議論され、改正後景表法7条1項では、事業者は不当な景品類の提供及び表示を防止するために必要な措置を講じることが義務付けられました。また同条2項に基づき、内閣総理大臣は事業者が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めることも規定され、施行に先立つ平成26年11月14日に内閣府告示第276号として公表されております。(http://www.caa.go.jp/representation/pdf/141210premiums_3.pdfを参照。)
同指針は、事業者内部において、景表法第3条の規定に基づく告示に違反する景品類の提供及び同法第4条に違反する表示を未然に防止するために必要な措置を講じることを求めるものであり、景品類の提供若しくは自己の供給する商品又は役務についての一般消費者向けの表示をする事業者に対して必要な措置を講じることを求めるものです。具体的には、表示等の管理上の措置として、事業者は、その規模や業態、取り扱う商品又は役務の内容等に応じ、必要かつ適切な範囲で、1)景品表示法の考え方の周知・啓発、2)法令遵守の方針等の明確化、3)表示等に関する情報の確認、4)表示等に関する情報の共有、5)表示等を管理するための担当者等を定めること、6)表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること、7)不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応に関して具体的な措置を講じる必要があるとされています。なお、改正後景表法8条において内閣総理大臣(同法12条による委任により消費者庁長官)は、事業者が管理体制を整備することについて指導及び助言をすることができ、指導及び助言に従わないときは同法第8条の2の規定に基づき勧告を行うことができるとしており、事業者が勧告に従わない場合は、同法8条の2第2項により事業者名を公表することができるとしています。
なお、具体的な運用に関しましては、上記指針における別添の事業者が講ずべき表示等の管理上の措置の具体的事例のほかに、昨年の12月26日、当該指針に関するQ&Aが消費者庁から公表されました(http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/qa/sisinqa.htmlを参照)。消費者に対して商品や役務を提供する企業におきましては、コンプライアンス意識と体制の強化を一層強める必要がありますので、その整備を早急に進めることをお勧め致します。改正の具体的内容及び対応に関する詳細は、当事務所(担当:伊藤誠吾・石井林太郎)にお問い合わせ下さい(ちなみに、更なる法改正により、上記改正後景表法に課徴金が導入される法案も別途既に成立かつ公布され(平成26年11月27日)、1年6月以内に施行されることが予定されていますので、そちらは別稿にてご報告する予定です。)。