グレーゾーン解消制度・企業実証特例制度の実施について
アベノミクスの「第3の矢」である成長戦略を実現するため、昨年12月4日に産業競争力強化法が成立し、本年1月20日よりその一部が施行されています。
同法は、日本経済の3つの歪みとされる「過剰規制」「過当競争」「過少投資」の是正を目的としており、従来の産活法に代わるものとして制定されたものです。
このうち、「過剰規制」を是正し、新規事業(生産性の向上に資するビジネスモデルなど、システム面で新規性のある取組も含まれます。)の創出、促進を図る制度として、グレーゾーン解消制度(同法9条)及び企業実証特例制度(同法8条、10条、12条)が新設されました。
グレーゾーン解消制度は、法規制の適用範囲が不明確な分野について、具体的な事業計画に即して照会を行うことで、法規制の適用の有無を確認できる制度です。これまで用いられてきたノーアクションレター制度とは異なり、対象となる規制法令に限定がなく(ただし、公租公課や手数料負担に関しては、「規制」に当たらないため、対象外とされています。)、規制法令の種類・数に関わらず、当該事業の事業所管省庁に一本化して照会を行うことが可能であり、企業秘密への配慮から個別照会結果の公表も予定されていない等、従来の制度と比べて様々な点で利便性が向上しています。
企業実証特例制度は、法規制により新規事業の実施が困難である場合に、事業者が安全性等を確保する措置を実施することを条件として、企業単位で規制の特例措置を講ずる制度です。同制度の下では、事業所管省庁は、事業者の提案に応じて特定措置の創設の可否を判断するだけではなく、事業者との協議、検討により提案の熟度向上を図り、事業者に代わって規制所管省庁に働きかけを行うなど、事業者を積極的にサポートする役割を担うことが期待されています。
本年4月下旬には、上記特例措置の創設が予定されているなど、上記各制度とも既に一部企業(大手企業にとどまらず、中小企業による活用も散見されています。)において活用されており、成長戦略の実現のためにも、今後の活発な利活用が望まれるところです。
各制度の利用手続の詳細や具体的な活用実績については、下記経産省HPをご参照ください。
《弁護士 石井 林太郎》