保険業法の一部を改正する法律案の国会提出について
令和7年3月7日に保険業法の一部を改正する法律案が国会に提出されました。
改正案の概要は、以下のとおりです。
1 損害保険代理店に対する体制整備の強化
損害保険代理店のうち、複数の保険会社の商品を扱う形態であって規模が大きい代理店(特定大規模乗合損害保険代理店)に対して、以下の体制整備を義務付け
・自動車修理業などを兼業している場合に、保険金の支払に不当な影響を及ぼさないよう、兼業業務を適切に監視するための体制整備
・法令等遵守責任者、その統括責任者の設置
・苦情の適切かつ迅速な処理のために必要な体制整備
2 保険会社等に対する体制整備義務の強化
保険会社等に対して、自動車修理業などを兼業している特定保険募集人に関連して、顧客の利益が不当に害されないよう、業務の適切な管理その他必要な体制整備を義務付け
3 保険契約の締結等に関する禁止行為の範囲の拡大
現行法において禁止している保険契約者又は被保険者に対する保険料の割引・割戻等の特別利益供与について、対象と禁止行為に以下を追加
【対象】
・保険契約者又は被保険者と密接な関係を有する者
【行為】
・取引上の社会通念に照らし相当であると認められない物品の購入や役務の提供
改正案の全文その他関係資料は、下記金融庁のWEBページをご参照ください。
https://www.fsa.go.jp/common/diet/217/index.html
今回提出された改正案は、保険代理店による保険金の不正請求や、企業向けの保険をめぐる大手保険会社間の価格調整などの問題が相次いだことを受け、再発防止に向けた規制強化を目的としたものです。
保険会社等においては、今後、同保険業法の改正、並びに、これに伴う保険業法施行規則及び監督指針の改正を踏まえて、更なる体制整備が求められます。
弁護士 小山 航