M&Aを考えている場合

1. はじめに

経営の多角化や経営規模の拡大等、目的は様々ではありますが、既存の他社事業を買収する手法による事業の拡大(あるいは選択と集中等を目的として自社の事業の一部や子会社を第三者に譲渡すること)を検討されることも、企業経営における一つの選択肢となって久しいところです。

既存の他社事業を買収する場合(あるいは自社の事業等を第三者に譲渡する場合)、典型的な手法としては、買収対象の会社をそのまま買収する「株式譲渡」又は「会社合併」、買収対象の「事業」のみを買収する「事業譲渡」等があります。その他、買収対象の「事業」のみを法人格として既存の法人から分離した上で(「会社分割」)それを「株式譲渡」又は「会社合併」等の方法で買収することを含め、既存の他社事業の買収については、様々な手法がありえます。
どのような手法が適切かは買収対象会社の事業の内容や税制の適用状況によって異なり、必要に応じて税理士等の他の専門家も交えた、案件ごとの検討が必要となります。
当事務所へのご相談は、既存の他社事業を買収する場合であれば、譲渡側の意向や会計事務所・仲介業者等との事前のご協議の中で予め買収対象の内容や手法がある程度絞られた段階でいただく例も少なくありませんが、当事務所は、事業者様のニーズに従い、当初のM&Aの手法の検討段階からご相談いただけます。

また、既存の他社事業を買収するに際しては、対象会社から資料や情報の開示を受けて、対象会社/対象事業の価値・リスクを、ビジネス・会計・税務・法務等の各側面から調査し、分析するデューディリジェンス(DD)の手続が非常に重要となるところ、当事務所においてはこのうち法的観点からの調査(法務調査、法務デューディリジェンス)を担当します。
更に、案件の当事者・規模等によっては、金融商品取引法や独占禁止法、更に業種ごとの業法などによる各種規制の適用関係を検討する必要も生じます。

当事務所では、法務調査、各種規制の遵守、各段階における契約書類の作成・交渉や手続完了後の対応を含めて、ご依頼者によるM&Aの一連のプロセスを全面的にサポートします。また、ご依頼者にご安心いただけますよう、M&A実行後に新たに判明した法的問題点についても、ご相談いただける体制を整えています。

どのようなタイミングでも構いませんので、M&Aを検討される場合には、ぜひ、当事務所にご相談ください。

2. M&Aのご相談(対象会社の株式全部取得の場合)

以下、ご相談の流れについては、金融商品取引法や独占禁止法等の適用が問題とならない比較的小規模な案件において、会計事務所等とも事前にご協議をされ、対象会社の株式全部を取得するという手法を採ることを既に予定されている場合を想定して説明します。

(1)ご相談以降の流れについて

M&Aのご相談以降の流れは、概ね、以下のとおりです。

ご相談
法務調査に関する方針及びスケジュールの決定/当事務所とのご契約
秘密保持契約書(更に、案件によっては当該M&Aに関する基本合意書)の作成又はレビュー
対象会社への資料リクエスト、開示資料の検討(法務以外の調査と並行して実施。以下同様)
対象会社へのインタビューの実施
対象会社への追加資料リクエスト及び追加質問、開示資料の検討
法務調査報告書の提出
株式譲渡契約書の作成又はレビュー
株式譲渡契約締結・クロージング(M&Aの実行)
M&A実行後の対応

(2)ご相談内容

当初のご相談では、以下の事柄につきご教示いただき、①法務調査やそれに先立つ契約書類(秘密保持契約・基本合意書等)の締結のスケジュールや、②当事務所でお受けする業務内容(上記事前契約書類の要否、法務調査の範囲、株式譲渡契約書の作成又はレビューの進行予定、その他行政関係手続きの代理業務の要否等)を協議します。

  • 想定しているM&Aの手法
  • クロージングまでの大まかな予定・スケジュール
  • 対象会社の株主の状況、業務の内容等

(3)必要な資料

対象会社の状況や予定している買収の方法等が把握できる資料をご準備ください。その一例は、以下のとおりです。入手していない資料については、後日、対象会社に開示をリクエストします。

  • 履歴事項全部証明書(写しで可)
  • 組織図
  • 会社概要 パンフレット
  • 決算書・税務申告書等

(4)費用のお見積り及びご契約等

お打合せの状況を踏まえて受任業務内容及び費用のお見積りを提示し、当事務所と業務委託契約を締結いただきます。

3. 法務調査(法務デューディリジェンス)の検討・実施等

法務調査に先立ち、対象会社との間でデューディリジェンスの資料の開示のための秘密保持契約書がまだ締結されていない場合には(当事務所にご相談があった時点で既に締結されている場合も少なくありません)、その案文作成・交渉等についてサポートします。また、案件によっては法務調査に先立って対象会社関係者との間で当該M&Aに関する基本合意書を締結することが適切な場合もありえますので、その案文作成・交渉等についてもサポートします。

法務調査では、事前に対象会社に開示をお願いする資料をリクエストし(調査の過程で、追加で資料の開示をお願いする場合もあります。)、開示資料の検討及び対象会社の役員等からの聞き取りを基に、対象会社の法務上の問題点の有無等を調査・検討します。

この法務調査や、ご依頼者または他の専門家により実施された他のデューディリジェンス調査・検討の結果を踏まえて、株式購入の条件(買収条件)の交渉をお手伝いします。なお、法務調査の結果によっては、買収のリスクが高いといったお話をする場合もあり、また、仮に買収を進める場合にも、他の買収手法のご提案をすることもあります。当事務所は、ご依頼者のご意向を踏まえ、判明した問題点に対応した柔軟なご提案が可能です。

4. 株式譲渡契約書のドラフト・交渉等

法務調査の結果及びそれを踏まえた買収交渉の経緯・結果に基づき、株式譲渡契約書の作成や相手方提示の株式譲渡契約書の修正をご提案し、またその後の交渉についてもサポートします。このようなサポートを通じて、リスクを軽減した対象会社の株式購入が実現されるようお手伝いします。また、M&A実行後の対応についても、併せてサポートします。