企業における日常的な相談をしたい場合

1. 会社における日常的な法律問題・トラブル

会社は法律問題に日常的に取り囲まれています。

会社の経営・運営に携わっている場合、あるいは会社の法務・総務を担当している場合、その規模にかかわらず法律に関連する事項に直面する場面は多岐にわたります。

外部との関係では、取引先との間で契約締結交渉が行われるのが一般的ですが、契約書に何を記載すべきか・記載すべきでないか・どのように記載すべきかについて、法的視点を踏まえて十分吟味検討することが重要です。また、取引先の契約不履行や建築時の近隣住民との間の紛争・トラブル、従業員が起こす交通事故等、第三者との間で法的紛争が生じることも決して少なくありません。

組織内部の関係としては、就業規則のアップデート等人事・労務の適法性を確保するための日常管理はもちろんですが、昨今、ハラスメント事案を含めて個別トラブルへの対応としての人事・労務問題は避けて通れない日常場面の一つといえます。また、会社がその役員や株主との間で利害が対立する場面が生じたときに、法人の立場としての対応についても適法性を確保することが必要です。

また、法改正や社会情勢の変化に伴う会社の内部体制・コンプライアンス体制の変更や運用への対応を迫られることもあります。

外部内部を問わず会社が紛争に直面した場合、始めから訴えを提起したり提起されたりするというケースは一般には稀であり、訴訟に先立ち相談や苦情申し入れや交渉等の機会が持たれることが多いものです。訴訟等の裁判手続に至る前の段階において、適切な法的判断に基づく経営判断をすることで、避けられるリスクを避け、コストを抑え、あるいは取るべきリスクを取ることが可能となります。

2. 会社の日常的なご相談へのご対応

ご相談方法・ご相談のご出席者について

当事務所は、ご依頼者の幅広い日常的な法律相談に迅速かつ適切な方法にて対応しています。例えば、日常的な取引に関する契約書等のレビューや契約交渉の進め方に関するご相談であれば、メールや電話等で対応を広く行っています。複雑な取引であったり、日常的な範疇を超えるイレギュラーな形態の取引であったりする場合は、対面でのご相談やZoom、Teams等でのWeb会議を行うことも少なくありません。さらに、当事務所は顧客本位のフットワークの良さを重視していますので、ご要望に応じ弁護士から訪問しての対面会議を行うことも決して珍しくありません。

まずは当事務所宛て又は個別の弁護士宛てにメールあるいは電話等によりお気兼ねなくお問い合わせください。具体的なご相談方法や面談方法、場所、必要なご出席者は、具体的な案件に応じて、契約や交渉等を直接担当されている方及び担当部署の方や、責任者の方との間で協議いたします。また相談料等の費用体系やお支払方法についてもお問合わせの際に概略を説明いたします。(詳細はご相談の際に説明いたします)

ご用意いただく資料について

具体的な案件の内容次第でご用意頂きたい資料も異なりますが、ご相談内容に関係ありそうなものは適宜ご用意頂けると、ご相談をスムーズに進められます。上記のお問合わせの際に、弁護士の方から必要となりそうな資料のご準備をお願いすることもあります。

お聴きする内容について

個別のご事情を伺ったうえで法的なアドバイスをいたします。例えば、取引に関するご相談であれば、当該取引の背景事情や懸念される事項、紛争のご相談であれば5W1Hを踏まえて具体的事実等をお伺いすることになります。

3. 顧問契約のお勧めについて

継続的な相談が予想される場合、あるいは契約やトラブルについて適時で臨機応変な対応を求めたいという場合には、顧問契約の締結をお勧めしています。特に顧問契約を締結するご依頼者に関しては、定額顧問料と引き替えに一定の範囲での時間制相談料を割安とする制度等、企業規模や事業活動のご実情に応じた合理的な費用体系を提供しています。会社事業のご進展や業界特有の事情等にも鑑みた、より極め細かい法的アドバイスを継続的に提供することが可能となりますので、案件のご相談の際には、当事務所との顧問契約も視野に入れられては如何でしょうか。詳しくはご相談の機会にぜひ担当弁護士にお尋ねください。

4. 法律相談のご対応の実例

《甲株式会社の事例》

甲株式会社(取締役会設置会社、代表取締役A。従業員数20名)において、経理担当役員(取締役)の職にあったB氏が、経理係長のC氏に対して、C氏の業務上のミスや勤務態度に関して厳しく叱責をし、精神的ショックを受けたC氏の体調を心配した同僚D氏が社内の通報窓口であった総務部長のE氏に相談した。

《上記事例におけるご相談及び対応の流れ》

  • E氏から当事務所弁護士宛てにメールでのお問合わせ。
    人事関係の相談案件がある旨とその対応の可否のお問合わせ。
  • 当事務所弁護士からE氏へお問合わせへの返信
    • メールだけでは当該社内トラブルの正確な内容や実情、背景等について把握するのは困難であり、ご来所いただいてお話しを伺うことが適切と判断。
    • E氏に電話のうえで相談日時を調整し、弁護士及びA氏・E氏との三者での面談設定。
    • B氏とC氏との関係性について、D氏以外の従業員からも上記面談までにヒアリングするよう同時にアドバイス。また関連資料を指定のうえ持参いただくよう要請。
  • A氏・E氏と弁護士との面談の実施と同面談での確認できた事実。
    • C氏は業務上のミスを繰り返し、遅刻等も多いことからB氏がC氏を叱責したことの目的自体には正当性はあるであろうこと。
    • 他方、B氏の叱責行為は長時間かつ執拗にほぼ毎日繰り返しなされ、C氏の人格を否定して尊厳を踏みにじる言葉を用いるものであったこと。
    • B氏の叱責は日常的でC氏以外の従業員も萎縮しており、過去に管理職の従業員が数名退職していること。
    • さらに、B氏が取締役3名の内の1名ではあるが当該会社では設立以来正式な取締役会は1度も開催されたことがないこと、B氏は勤続20年の中堅社員であり、創業家の一族でA氏と血縁関係もあり、将来の社長候補とも目される立場にある人物であること、A氏とA氏の配偶者で合わせて同社株式の過半数を保有し、B氏は少数株主であること、定款については設立(昭和40年代)以来一度も変更されたことがなく、現行会社法とはそぐわない規定が多数存在すること、等の事情も確認。
  • 弁護士の対応
    上記③ア)からウ)の事実からB氏の行為はパワーハラスメント行為に該当すると評価し、さらにエ)の事実を踏まえて代表取締役A氏との至急の面談をE氏に要請。
  • 代表取締役A氏と弁護士との面談
    当事務所にてA氏と弁護士が面談。B氏の行為の認定根拠と判断を報告、取締役としての資質への疑義についても指摘。
    B氏への対応を複数回協議。C氏から会社への紛争にもなりかねないことを懸念したA氏は、B氏を取締役から外すことを決断。
    弁護士はB氏の自発的な辞任を促してはどうかとA氏に提案。
  • A氏とB氏との間の協議
    A氏がB氏と話合いの機会を持ちB氏に取締役の辞任を勧奨。B氏はこれに拒否。
  • 取締役会と株主総会の開催によるB氏の更迭
    弁護士の助言と具体的な指導により、適法な手続に則った臨時取締役会・臨時株主総会の開催を行い、B氏を取締役候補者としないで別のF氏を新たに選任することによりB氏を事実上解任。
  • 弁護士の助言と指導による会社のコンプライアンス態勢の整備
    またこれを機に、弁護士の助言の下適切な定款変更や社内諸規程を改定・整備し、今後は取締役会や株主総会を実施。
    加えて、外部講師を招いたハラスメント研修会を実施する等、コンプライアンス体制の構築・整備を実施。